Common use of 判決の要旨 Clause in Contracts

判決の要旨. 裁判所は次のとおり判示し、Xの請求の一部を認容した。 (賃貸人の修繕義務について) 本件事故の後は、浴室内の外にある冷蔵庫まで汚水が付着したことが認められ、2度目の事故の後は、ユニットバスから溢れ出たと思われる排水が室内全体に広がっている状態で居室内の大部分にわたって浸水したことが認められ、Yは、少なくとも本件居室のクリーニング義務を負うというべきである。 修繕義務については、民法606条の解釈として、経済的ないし取引上の観点からみて不能な場合に修繕義務はないと解される。しかし、Yが代表である管理組合は、調査会社に調査を依頼し、平成29年8月15日に高圧洗浄により錆ゴミの除去を行い、その後、共用の排水管工事が行われたことから、修繕が不能 な場合に当たるとはいえない。 また、賃貸人は、賃貸借契約に基づき、賃借人に賃貸借契約の目的物を使用収益させる債務を負っており、その債務を履行できない場合には損害賠償義務を負う。その場合に、賃貸借契約の目的物とは別の同種、同等の代替物を使用収益させる義務まで負うとはいえないため、Yは、仮住まいの手配すべき債務を負うとはいえない。 (賃借人の損害について) 本件居室は、本件事故の後には居住に適した状態になかったこと、すなわち、その使用収益が社会通念上全面的に不能となっていたこと、それにもかかわらず、Yがクリーニング義務を怠った上、Yが支払い義務を負うXの仮住まい費用について、平成29年10月分以降の支払いを拒絶するなど、Xは転居せざるを得なくなったことから、平成29年10月28日、賃料1か月8万6324円の新居に転居したことが認められる。Xは、平成22年から本件居室に居住していたことから、本件事故がなければ、その後も相当の期間にわたって本件居室に居住していたことが推認できる。よって、 Xが請求する新家賃の差額については、Yの債務不履行と相当因果関係のある損害である。さらに、Xは、転居に当たり、礼金、仲介手数料、保証料等を支出したことが認められ、これらもYの債務不履行と相当因果関係のある損害である。Yは、Xの転居先が上質であることから、家賃の差額について債務不履行と因果関係のない損害であると主張するが、証拠によれば、本件居室と大差のない、ほぼ同等の物件である。転居費用についても、単身の転居のため、より低額の転居費で転居できたなどと主張するが、転居作業を依頼した引越し業者は大手であり、その費用が不相当に高額であると認める証拠もないため、Yの主張は採用できない。

Appears in 1 contract

Sources: 賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は次のとおり判示し、Xの請求の一部を認容した裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を棄却した。 (賃貸人の修繕義務についてクリーニング特約の有効性本件事故の後は、浴室内の外にある冷蔵庫まで汚水が付着したことが認められ、2度目の事故の後は、ユニットバスから溢れ出たと思われる排水が室内全体に広がっている状態で居室内の大部分にわたって浸水したことが認められ、Yは、少なくとも本件居室のクリーニング義務を負うというべきである建物の賃借人に通常の使用に伴う損耗につ いての原状回復義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。(最二判 平17・12・16)修繕義務については、民法606条の解釈として、経済的ないし取引上の観点からみて不能な場合に修繕義務はないと解される。しかし、Yが代表である管理組合は、調査会社に調査を依頼し、平成29年8月15日に高圧洗浄により錆ゴミの除去を行い、その後、共用の排水管工事が行われたことから、修繕が不能 な場合に当たるとはいえないがないというものではないまた、賃貸人は、賃貸借契約に基づき、賃借人に賃貸借契約の目的物を使用収益させる債務を負っており、その債務を履行できない場合には損害賠償義務を負う。その場合に、賃貸借契約の目的物とは別の同種、同等の代替物を使用収益させる義務まで負うとはいえないため、Yは、仮住まいの手配すべき債務を負うとはいえない本件クリーニング特約では、クリーニング代の賃借人負担や、部屋の広さやエアコンの台数に応じた負担額の算出方法が明確に定められており、賃借人の負担額を一定額とすることは、通常損耗等の補修の要否やその費用の額をめぐる紛争を防止するといった観点から不合理なものとはいえないし、あらかじめ定められた本件の負担額は、実際の見積額や社会通念に照らして相応な額である。そうすると、本件特約が信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであるということはできず、消費者契約法10条に基づき無効と言うことはできない。 (賃借人の損害についてフリーレント特約の有効性本件居室は、本件事故の後には居住に適した状態になかったこと、すなわち、その使用収益が社会通念上全面的に不能となっていたこと、それにもかかわらず、Yがクリーニング義務を怠った上、Yが支払い義務を負うXの仮住まい費用について、平成29年10月分以降の支払いを拒絶するなど、Xは転居せざるを得なくなったことから、平成29年10月28日、賃料1か月8万6324円の新居に転居したことが認められる。Xは、平成22年から本件居室に居住していたことから、本件事故がなければ、その後も相当の期間にわたって本件居室に居住していたことが推認できる。よって、 Xが請求する新家賃の差額については、Yの債務不履行と相当因果関係のある損害である。さらに、Xは、転居に当たり、礼金、仲介手数料、保証料等を支出したことが認められ、これらもYの債務不履行と相当因果関係のある損害である。Yは、Xの転居先が上質であることから、家賃の差額について債務不履行と因果関係のない損害であると主張するが、証拠によれば、本件居室と大差のない、ほぼ同等の物件である。転居費用についても、単身の転居のため、より低額の転居費で転居できたなどと主張するが、転居作業を依頼した引越し業者は大手であり、その費用が不相当に高額であると認める証拠もないため、Yの主張は採用できないフリーレント特約の内容は一義的かつ明確であり、フリーレントの開始日と終了日について明確な合意があったものと認めるのが相当である。Xは契約の締結に先立ち入居可能日についてYと一定の交渉をしており、契約書どおりのフリーレント期間とすることについて了承していたものと認めるのが相当である。また、宅地建物取引業法違反や説明義務違反等により本件フリーレント特約が無効になる余地もない。 (保険契約の加入強制) 賃貸物件を保障対象とする保険の選択について、賃借人の自由に委ねるとすれば、賃貸人の資産である賃貸物件について十分な保険を掛けられず、賃貸人の利益を害する恐れもあり、賃貸人が保険会社を指定することにも一定の合理性があるというべきである

Appears in 1 contract

Sources: 賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は次のとおり判示し、Xの請求の一部を認容した一部破棄差戻し、一部破棄自判、一部却下(注2)原審判決が、「本件契約が建物賃貸借契約に当たり、これに借地借家法の適用があるという以上、特段の事情のない限り、賃料増減額請求に関する同法32条も本件契約に適用があるというべきである。 本件契約には賃料保証特約が存し、Xの前記賃料減額請求は、同特約による保証賃料額からの減額を求めるものである。借地借家法32条1項は、強行法規であって、賃料保証特約によってその適用を排除することができないものであるから(最高裁昭和28年(オ)第8 61号同31年5月15日第三小法廷判決・民集10巻5号496頁、最高裁昭和54年 賃貸人の修繕義務について) 本件事故の後は、浴室内の外にある冷蔵庫まで汚水が付着したことが認められ、2度目の事故の後は、ユニットバスから溢れ出たと思われる排水が室内全体に広がっている状態で居室内の大部分にわたって浸水したことが認められ、Yは、少なくとも本件居室のクリーニング義務を負うというべきであるオ)第593号同56年4月20日第二小法廷判決・民集35巻3号656頁参照),Xは、本件契約に賃料保証特約が存することをもって直ちに保証賃料額からの減額請求を否定されることはない修繕義務については、民法606条の解釈として、経済的ないし取引上の観点からみて不能な場合に修繕義務はないと解される。しかし、Yが代表である管理組合は、調査会社に調査を依頼し、平成29年8月15日に高圧洗浄により錆ゴミの除去を行い、その後、共用の排水管工事が行われたことから、修繕が不能 な場合に当たるとはいえない。 また、賃貸人は、賃貸借契約に基づき、賃借人に賃貸借契約の目的物を使用収益させる債務を負っており、その債務を履行できない場合には損害賠償義務を負う。その場合に、賃貸借契約の目的物とは別の同種、同等の代替物を使用収益させる義務まで負うとはいえないため、Yは、仮住まいの手配すべき債務を負うとはいえない。 (賃借人の損害について) 本件居室は、本件事故の後には居住に適した状態になかったこと、すなわち、その使用収益が社会通念上全面的に不能となっていたこと、それにもかかわらず、Yがクリーニング義務を怠った上、Yが支払い義務を負うXの仮住まい費用について、平成29年10月分以降の支払いを拒絶するなど、Xは転居せざるを得なくなったことから、平成29年10月28日、賃料1か月8万6324円の新居に転居したことが認められる。Xは、平成22年から本件居室に居住していたことから、本件事故がなければ、その後も相当の期間にわたって本件居室に居住していたことが推認できる。よって、 Xが請求する新家賃の差額については、Yの債務不履行と相当因果関係のある損害である。さらに、Xは、転居に当たり、礼金、仲介手数料、保証料等を支出したことが認められ、これらもYの債務不履行と相当因果関係のある損害である。Yは、Xの転居先が上質であることから、家賃の差額について債務不履行と因果関係のない損害であると主張するが、証拠によれば、本件居室と大差のない、ほぼ同等の物件である。転居費用についても、単身の転居のため、より低額の転居費で転居できたなどと主張するが、転居作業を依頼した引越し業者は大手であり、その費用が不相当に高額であると認める証拠もないため、Yの主張は採用できないところで,本件契約は、不動産賃貸業等を営む会社であるXが、土地所有者であるYの建築したビルにおいて転貸事業を行うことを目的とし、Yに対し一定期間の賃料保証を約し, Yにおいて,この賃料保証等を前提とする収支予測の下に多額の銀行融資を受けてビルを建築した上で締結されたものであり、いわゆるサブリース契約と称されるものの一つである。そして、本件契約は,Xの転貸事業の一部を構成するものであり、それ自体が経済取引であるとみることができるものであり,また、本件契約における賃料保証は、YがXの転貸事業のために多額の資本投下をする前提となったものであって、本件契約の基礎となったものということができる。しかし,このような事情は、本件契約に借地借家法32条が適用されないとする特段の事情ということはできない。また、本件契約に転貸借承継合意が存することによって、Yが解約の自由を有するということはできないし,仮に賃貸人が解約の自由を有するとしても、賃借人の賃料減額請求権の行使が排斥されるということもできない。ただし、賃料減額請求の当否や相当賃料額を判断するに当たっては,賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情を総合考慮すべきであり、特に本件契約においては、上記の賃料保証特約の存在や保証賃料額が決定された事情をも考慮すべきである

Appears in 1 contract

Sources: サブリース契約

判決の要旨. 裁判所は次のとおり判示し、Xの請求の一部を認容した裁判所は以下のように判示し、本件契約における借地借家法32条1項の適用を肯定し、適正賃料を示した(賃貸人の修繕義務について) 本件事故の後は、浴室内の外にある冷蔵庫まで汚水が付着したことが認められ、2度目の事故の後は、ユニットバスから溢れ出たと思われる排水が室内全体に広がっている状態で居室内の大部分にわたって浸水したことが認められ、Yは、少なくとも本件居室のクリーニング義務を負うというべきである盧 本件契約書は「建物賃貸借契約書」と題する契約書である上、その内容はXがYから本件建物を賃借し、賃料を支払うほか、賃貸借期間、転貸借、保証金、敷金などの規定が置かれている。このことから、本件契約は賃借人が目的物を使用収益し、賃貸人に対してその対価を支払うという建物賃貸借契約としての性質を有することは明らかである。この点についてYは不動産変換ローン事業の種々の事情を主張するが、それらをもって本件契約が賃貸借契約としての性質を有しないものとはいえず、借地借家法32条1項の適用を排除しなければならない事情があるとはいえない修繕義務については、民法606条の解釈として、経済的ないし取引上の観点からみて不能な場合に修繕義務はないと解される。しかし、Yが代表である管理組合は、調査会社に調査を依頼し、平成29年8月15日に高圧洗浄により錆ゴミの除去を行い、その後、共用の排水管工事が行われたことから、修繕が不能 な場合に当たるとはいえない盪 Yは本件契約の賃料増額特約を根拠とし、Xは3年ごとに12パーセントずつ増額された賃料を支払う法的義務を負う旨主張するが、本件契約の条文をもって自動的に賃料が12パーセント増額されるという趣旨は読み取れない。本件契約が不動産変換ローン事業の一環であり、賃料が増額することによって収支が均衡することをYが見込んでいたとしても、それをもってXとYの間で賃料増額特約が合意されたと認めることはできないまた、賃貸人は、賃貸借契約に基づき、賃借人に賃貸借契約の目的物を使用収益させる債務を負っており、その債務を履行できない場合には損害賠償義務を負う。その場合に、賃貸借契約の目的物とは別の同種、同等の代替物を使用収益させる義務まで負うとはいえないため、Yは、仮住まいの手配すべき債務を負うとはいえない蘯 したがって、借地借家法32条1項の規定は、本件契約について適用されるものであるから、これを前提として適正賃料を検討する(賃借人の損害について) 本件居室は、本件事故の後には居住に適した状態になかったこと、すなわち、その使用収益が社会通念上全面的に不能となっていたこと、それにもかかわらず、Yがクリーニング義務を怠った上、Yが支払い義務を負うXの仮住まい費用について、平成29年10月分以降の支払いを拒絶するなど、Xは転居せざるを得なくなったことから、平成29年10月28日、賃料1か月8万6324円の新居に転居したことが認められる。Xは、平成22年から本件居室に居住していたことから、本件事故がなければ、その後も相当の期間にわたって本件居室に居住していたことが推認できる。よって、 Xが請求する新家賃の差額については、Yの債務不履行と相当因果関係のある損害である。さらに、Xは、転居に当たり、礼金、仲介手数料、保証料等を支出したことが認められ、これらもYの債務不履行と相当因果関係のある損害である。Yは、Xの転居先が上質であることから、家賃の差額について債務不履行と因果関係のない損害であると主張するが、証拠によれば、本件居室と大差のない、ほぼ同等の物件である。転居費用についても、単身の転居のため、より低額の転居費で転居できたなどと主張するが、転居作業を依頼した引越し業者は大手であり、その費用が不相当に高額であると認める証拠もないため、Yの主張は採用できない当裁判所が選任した不動産鑑定士の鑑定結果によれば、「通常の賃貸借の場合における適正月額賃料」として1ヶ月10 億 1,673万円、「本件特有の事情を考慮した場 合の適正月額賃料」として1ヶ月10 億 8,728万円の2つが出ており、後者は実質賃料から保証金の運用益を控除していないものである。保証金の運用益の控除の当否について検討すると、不動産鑑定評価基準によれば「一時金が授受される場合の支払賃料は、実質賃料から、賃料の前払的性格を有する一時金の運用益及び償却額ならびに預り金的性格を有する一時金の運用益を控除して求めるものとする」とされている。当該保証金は無利息の一時的な預託金であり、XY双方とも保証金の運用益について敷金の運用益と同様に実質賃料に含まれることを前提に交渉していたことが認められる。したがって本件契約における保証金の運用益は、実質賃料に含まれるものと解するのが相当である。 盻 以上によれば、Xの請求する賃料減額については、上記の「通常の賃貸借の場合における適正月額賃料」に当裁判所が修正を加えたところの1ヶ月10億1,880万円を限度として理由があり、Yの請求はいずれも理由がなくこれを棄却することとする

Appears in 1 contract

Sources: 賃貸借契約