Common use of 判決の要旨 Clause in Contracts

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を 棄却した。 認定事実によれば、平成30年4月9日に発生した漏水については、本件排水管のひび割れが原因であることが強く推認され、ひび割れの原因としては、本件建物の建築時期やほかに原因となる要因も見当たらないことからすれば、経年劣化によるものであることが推認される。 もっとも、平成29年3月8日及び平成30年 2月22日頃の時点においては、通水検査の結果、本件排水管からの漏水が確認されなかったのであるから、同日の時点において、本件排水管に経年劣化によるひび割れが生じていたとは認められない。 そうすると、本件賃貸借契約が締結された同年1月11日時点において、本件排水管に何らかの経年劣化が生じていたものとしても、それによるひび割れ等が顕在化していたわけではなく、その潜在的な危険があるにとどまる状態であったというべきである。 宅地建物取引業者が建物の賃貸借契約の媒介を行う場合において、宅地建物取引業法に基づき、建物状況調査自体を行うべき義務を有しているものではない。このような同法の規定や、賃借人等の利益の保護と建物の流通の円滑化とを図るとの同法の目的(同法1条)に照らすと、宅地建物取引業者において、建物の賃貸借契約の媒介を行うに当たり、当該建物の躯体内排水管の経年劣化によるひび割れ等の潜在的な危険といった建物の外観から直ちに認識し得ない瑕疵を自ら調査すべき善管注意義務を負うと認めることはできないというべきである。 これを本件について見ると、前記のとおり、本件排水管に経年劣化によるひび割れ等の潜在的な危険があったにとどまる本件において、Yが、そのような建物の外観からは直ちに認識し得ない隠れた瑕疵を調査すべき善管 注意義務を有していたとは認められない。 また、本件賃貸借契約の当時、Yが上記瑕 疵の存在やその可能性を示唆する情報を認識していたと認めるに足りる証拠もないから、 Yが、Xに対し、当該瑕疵を告知すべき義務を有していたとも認められない。 なお、Xは、媒介業者に注意義務違反、告知義務違反等を認めた裁判例が多数存在する旨主張するが、Xが指摘する裁判例は、媒介業者が建物の物理的瑕疵によってその目的が実現できない可能性を示唆する情報を認識していた場合や、建物の外観から物理的瑕疵の存在を認識し得た場合等に関するものであり、いずれも本件とは事案を異にするものである。 したがって、Xの請求には理由がないことから、これを棄却する。

Appears in 1 contract

Sources: 賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を 棄却した裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した認定事実によれば、平成30年4月9日に発生した漏水については、本件排水管のひび割れが原因であることが強く推認され、ひび割れの原因としては、本件建物の建築時期やほかに原因となる要因も見当たらないことからすれば、経年劣化によるものであることが推認される[原始的不能及び錯誤無効について] 本件建物の屋内消火栓設備に非常電源を設置すれば条例47条の特例の適用を改めて受けることができるし、クリニックとしての面積を10㎡程度減床すれば、そもそも本件建物が複合用途防火対象物に該当することはなく、 本フロアをクリニックとして利用することができたのであるから、多額の費用が必要なことを考慮しても、本件契約締結時に本件契約が原始的に不能ということはできないもっとも、平成29年3月8日及び平成30年 2月22日頃の時点においては、通水検査の結果、本件排水管からの漏水が確認されなかったのであるから、同日の時点において、本件排水管に経年劣化によるひび割れが生じていたとは認められないまた、Xが所轄消防署に照会をすれば、本件建物が条例47条の特例の適用がされている建物であることについて、また、用途変更に伴い条例47条の特例の適用を改めて受けるには相応の対応が必要となり得ることを容易に知り得たものと認められるから、本件契約を締結したことについて、仮に動機の錯誤があったとしても、本件契約の締結に先立ち、所轄消防署に対する事前の照会を怠ったことは、X側の重大な過失というべきであるそうすると、本件賃貸借契約が締結された同年1月11日時点において、本件排水管に何らかの経年劣化が生じていたものとしても、それによるひび割れ等が顕在化していたわけではなく、その潜在的な危険があるにとどまる状態であったというべきである[瑕疵について] 本件契約締結時の状況に照らして、Xが本フロアにおいてクリニックを開業するという本件契約をした目的を達成することができなかったとは認められない宅地建物取引業者が建物の賃貸借契約の媒介を行う場合において、宅地建物取引業法に基づき、建物状況調査自体を行うべき義務を有しているものではない。このような同法の規定や、賃借人等の利益の保護と建物の流通の円滑化とを図るとの同法の目的(同法1条)に照らすと、宅地建物取引業者において、建物の賃貸借契約の媒介を行うに当たり、当該建物の躯体内排水管の経年劣化によるひび割れ等の潜在的な危険といった建物の外観から直ちに認識し得ない瑕疵を自ら調査すべき善管注意義務を負うと認めることはできないというべきである[設置義務違反ないし告知義務違反について]消防法2条及び17条1項によれば、消防用 設備についての設置・維持義務を負う関係者は、所有者、管理者又は占有者をいうところ、所有者であるYと、本フロアに入居することにより占有者となるXのいずれが当該義務を負うかについては、その費用負担を含めて、本件契約上、明記されていないこれを本件について見ると、前記のとおり、本件排水管に経年劣化によるひび割れ等の潜在的な危険があったにとどまる本件において、Yが、そのような建物の外観からは直ちに認識し得ない隠れた瑕疵を調査すべき善管 注意義務を有していたとは認められない本件契約において、賃貸借の目的物の種類は事務所とされていること、使用目的については、Xの使途を義務付けるものであって、 Yに何らかの義務を負わせる規定とはなっていないことなどからすると、消防用設備等の設置義務ないしその費用を負担すべき者がYであるということを、本件契約の解釈として直ちに導き出すことは困難であるまた、本件賃貸借契約の当時、Yが上記瑕 疵の存在やその可能性を示唆する情報を認識していたと認めるに足りる証拠もないから、 Yが、Xに対し、当該瑕疵を告知すべき義務を有していたとも認められない本件においては、条例47条の特例の適用があり、用途変更を伴う場合には改めて特例の適用を受ける必要が生じることが特別の事情 であったことは認められるものの、当該事情について、敢えて賃貸人に調査義務を負わせることは相当ではなく、新たに服すべき法、令及び条例等の規制を満たすための費用を負担させることも相当ではないなお、Xは、媒介業者に注意義務違反、告知義務違反等を認めた裁判例が多数存在する旨主張するが、Xが指摘する裁判例は、媒介業者が建物の物理的瑕疵によってその目的が実現できない可能性を示唆する情報を認識していた場合や、建物の外観から物理的瑕疵の存在を認識し得た場合等に関するものであり、いずれも本件とは事案を異にするものである。 したがって、Xの請求には理由がないことから、これを棄却する本件契約においては、本件建物が条例47条の特例の適用のある物件であったことを含めて賃借人が調査すべきであり、Yにおいて格別に告知義務があるということもできないし、屋内消火栓設備に非常電源を設置することが、唯一の方法であるという意味で、必要であったとか、義務であったとまではいうことができないことからすると、Yにおいて当該設備の設置が必要なことを告知すべき義務があったということもできない

Appears in 1 contract

Sources: 賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を 棄却した裁判所は、下記の通り判示し、Yの請求のうち、実際に埋設物撤去を行った費用294万円を認め、他の請求については棄却した認定事実によれば、平成30年4月9日に発生した漏水については、本件排水管のひび割れが原因であることが強く推認され、ひび割れの原因としては、本件建物の建築時期やほかに原因となる要因も見当たらないことからすれば、経年劣化によるものであることが推認される(本件埋設物について) 当事者双方は、本件売買契約締結時において、本件土地は工場用地として利用されていた土地で、これまでの利用状況等から、従前保管されていた資材の一部や存在した建物の基礎等、何らかの埋設物が地中に残存していると共に、それらによる何らかの土壌への影響が残っている可能性があると認識・想定していたものと考えられ、本件土地にコンクリートガラ、タイヤ、瓦礫及びゴミ等が埋まっていたこと自体は、契約当事者間において予定されていた品質又は性能を欠き隠れた瑕疵に当たると直ちにいうことはできないもっとも、平成29年3月8日及び平成30年 2月22日頃の時点においては、通水検査の結果、本件排水管からの漏水が確認されなかったのであるから、同日の時点において、本件排水管に経年劣化によるひび割れが生じていたとは認められないれた瑕疵に当たるというべきであるそうすると、本件賃貸借契約が締結された同年1月11日時点において、本件排水管に何らかの経年劣化が生じていたものとしても、それによるひび割れ等が顕在化していたわけではなく、その潜在的な危険があるにとどまる状態であったというべきである(本件土壌汚染について) Xは、土壌汚染の可能性を認識したうえで 倉庫の敷地として使用することを想定して本件土地を購入し、現在も本件倉庫の敷地として使用しているのであって、本件鉛がXの本件土地利用に与えた影響について具体的な主張立証はないから、本件鉛が本件土壌等をもたらした油分に由来するとしても、契約当事者間において予定されていた品質又は性能を 欠き、隠れた瑕疵に当たるとは認められない宅地建物取引業者が建物の賃貸借契約の媒介を行う場合において、宅地建物取引業法に基づき、建物状況調査自体を行うべき義務を有しているものではない。このような同法の規定や、賃借人等の利益の保護と建物の流通の円滑化とを図るとの同法の目的(同法1条)に照らすと、宅地建物取引業者において、建物の賃貸借契約の媒介を行うに当たり、当該建物の躯体内排水管の経年劣化によるひび割れ等の潜在的な危険といった建物の外観から直ちに認識し得ない瑕疵を自ら調査すべき善管注意義務を負うと認めることはできないというべきである(Yの表明保証義務違反について) 本件売買契約書には、旧鉄塔基礎、水道埋設管及びガス埋設管、木柵、旧建物の基礎等については不明との記載がされており、むしろ、本件土地には埋設物が存在する可能性があることが指摘されているというべきであって、Yが、本件埋設物が存在しないことを表明し保証したとは認められないこれを本件について見ると、前記のとおり、本件排水管に経年劣化によるひび割れ等の潜在的な危険があったにとどまる本件において、Yが、そのような建物の外観からは直ちに認識し得ない隠れた瑕疵を調査すべき善管 注意義務を有していたとは認められない。 また、本件賃貸借契約の当時、Yが上記瑕 疵の存在やその可能性を示唆する情報を認識していたと認めるに足りる証拠もないから、 Yが、Xに対し、当該瑕疵を告知すべき義務を有していたとも認められない。 なお、Xは、媒介業者に注意義務違反、告知義務違反等を認めた裁判例が多数存在する旨主張するが、Xが指摘する裁判例は、媒介業者が建物の物理的瑕疵によってその目的が実現できない可能性を示唆する情報を認識していた場合や、建物の外観から物理的瑕疵の存在を認識し得た場合等に関するものであり、いずれも本件とは事案を異にするものである。 したがって、Xの請求には理由がないことから、これを棄却する(Yの説明義務違反について) YはXに対し、売買契約時に、本件土壌汚 染の地歴報告書や調査報告書を交付しているところ、本件調査報告書による調査が売買するに当たって通常行うべき程度に欠けるほど不十分なものであったと認めるに足りぬ証拠はなく、地中埋設物についても、その可能性に言及した上で、その処理の分担を定めており、本件売買契約の付随的義務である説明義務違反があったとは認められない

Appears in 1 contract

Sources: 契約解除違約金

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を 棄却した裁判所は、次のとおり判示し、Xの主張を棄却した。 1. Xの錯誤の有無について Xは、本件売買契約締結時には、本件建物 を取り壊して建物を新築するかどうかを決定していなかったこと、その後Xは、本件地下車庫について検査済証が未取得であること等から、本件地下車庫上に建物を建てることができないことを前提に、B社との間で本件請負契約を締結したことから、本件売買契約及び本件請負契約の履行を進めるつもりであったことが認められるから、契約締結に当たって、要素の錯誤があった旨の原告の主張は理由がない。 2. Y2社の説明義務違反について 建物の建築の可否は、建築基準法等の法令に適合するかどうかにより定まるのであって既存建物の検査済証の有無により定まるものではないから、本件地下車庫について検査済証が未取得であったからといって、本件土地上に建物を建築することができないとは限らず、本件リスク(本件地下車庫上に現況のままで適法な建物を建てることは不可能であり適法な建物を建てるためには本件車庫の補強のために多額の費用がかかること。)が存在することが通常想定される問題であったとはいえなく、本件建物を取り壊して本件土地上に建物を建てる場合、①本件地下車庫を残し、本件地下車庫の上に建物の躯体がかからないように建物を建築すること及び②本件地下車庫を壊して建物を建てることが可能であり、 その場合には本件リスクは顕在化しないことになる認定事実によれば、平成30年4月9日に発生した漏水については、本件排水管のひび割れが原因であることが強く推認され、ひび割れの原因としては、本件建物の建築時期やほかに原因となる要因も見当たらないことからすれば、経年劣化によるものであることが推認される。 もっとも、平成29年3月8日及び平成30年 2月22日頃の時点においては、通水検査の結果、本件排水管からの漏水が確認されなかったのであるから、同日の時点において、本件排水管に経年劣化によるひび割れが生じていたとは認められない。 そうすると、本件賃貸借契約が締結された同年1月11日時点において、本件排水管に何らかの経年劣化が生じていたものとしても、それによるひび割れ等が顕在化していたわけではなく、その潜在的な危険があるにとどまる状態であったというべきである。 宅地建物取引業者が建物の賃貸借契約の媒介を行う場合において、宅地建物取引業法に基づき、建物状況調査自体を行うべき義務を有しているものではない。このような同法の規定や、賃借人等の利益の保護と建物の流通の円滑化とを図るとの同法の目的(同法1条)に照らすと、宅地建物取引業者において、建物の賃貸借契約の媒介を行うに当たり、当該建物の躯体内排水管の経年劣化によるひび割れ等の潜在的な危険といった建物の外観から直ちに認識し得ない瑕疵を自ら調査すべき善管注意義務を負うと認めることはできないというべきである。 これを本件について見ると、前記のとおり、本件排水管に経年劣化によるひび割れ等の潜在的な危険があったにとどまる本件において、Yが、そのような建物の外観からは直ちに認識し得ない隠れた瑕疵を調査すべき善管 注意義務を有していたとは認められない。 また、本件賃貸借契約の当時、Yが上記瑕 疵の存在やその可能性を示唆する情報を認識していたと認めるに足りる証拠もないから、 Yが、Xに対し、当該瑕疵を告知すべき義務を有していたとも認められない。 なお、Xは、媒介業者に注意義務違反、告知義務違反等を認めた裁判例が多数存在する旨主張するが、Xが指摘する裁判例は、媒介業者が建物の物理的瑕疵によってその目的が実現できない可能性を示唆する情報を認識していた場合や、建物の外観から物理的瑕疵の存在を認識し得た場合等に関するものであり、いずれも本件とは事案を異にするものである。 したがって、Xの請求には理由がないことから、これを棄却する以上によれば、本件リスクは、買主が本件売買契約を締結するかどうかを決定する際に影響を及ぼし得る事項ではあるが、意思決定に重要な影響を及ぼす事項として、また常に媒介業者として買主に対して調査説明すべき事項とまではいえない

Appears in 1 contract

Sources: 土地売買契約