Contract
【取引事例1】
(役務提供契約の内容を明らかにする書面交付義務に違反する行為、役務提供契約に基づく債務又は役務提供契約の解除によって生ずる債務の履行を不当に遅延させる行為)
(1)令和元年 11 月頃、静岡県内在住の消費者A宅の郵便ポストに「今日は、水まわりの事、何でもご相談下さい。」等とメモ書きされている役員Yの名刺が投函されていた。
(2)同年 12 月頃、A宅の洗面台の水道配管の設置部分がさびていることに気がついたAはYの名刺を思い出し、洗面台について工事が必要であれば見積りをしてもらうために、事業者に電話した。
同日中、事業者ZはA宅を訪問し、「どうした」と告げた。
Zは、洗面所を含めたA宅の水回り箇所を点検した後、「これは重症だな。」「今 から市役所に行って、建築確認のときの設計図を見てくる。」と言って出て行った。約1時間後、▇は再びA宅を訪問し「市役所に行って調べてきた。壁の中は 1 階
から2階まで鉄管を使っている。給水と給湯の全ての配管を取り換える必要がある。」と告げて水道配管工事の契約を勧誘した。
▇は、Aに見積書を交付し、「緊急だから明日からやる。」と告げるとともに、日曜日を除き4日間で工事を行うことを説明し、Aはこれに納得したことから工事を依頼した。
Zは見積金額の半額程度の内金を要求したことから、Aは同日中に内金を用意し、再訪問したZに支払うと、▇は領収証を交付した。
この契約に際し、契約書は交付しなかった。
(3)上記(2)の翌日、Zは作業員 1 人とA宅を訪問し、作業員 1 人がA宅の外壁にドリルで穴を開ける工事を行った。
同日における作業員の休憩中、Aは作業員から凍結防止対策の工事を行った方が良いと勧められた。
作業員は、夕方頃まで工事を行い、立ち去った。
工事予定と聞いていたその翌日に工事は行われず、その後も工事予定と聞いていた日付に工事は行われなかった。
(4)同年 12 月頃、▇がA宅を訪問したため、予定通りの工事を行われていない理由を聞くとZは「市役所から急な工事を頼まれた。」と言った。
Aは作業員に勧められた凍結防止対策のことを告げると▇は一旦立ち去り、同日中に再訪問したZは、契約済みの工事契約に凍結防止措置を追加した見積書をAに交付し「急な仕事で作業が終わってからになる。」と告げて立ち去った。
同日、▇がA宅を再訪問し「トラブルが発生して。」と言い、売掛金があった料理屋が倒産したことを説明した後、工事代金の全額を前払いで支払ってほしいとい
うことをAに告げた。
不審に思ったAは、契約の解除を申し出たところ、▇はA宅から立ち去った。同日、▇はA宅を再訪問し、「何とかお願いできないか。最後までやらせてほし
い。前払いしてくれたならば、2階のトイレを節水仕様のものに無償で交換しても良い。」と契約解除の撤回を懇願したが、Aは契約解除を撤回する意思がないことを伝えた。
(5)上記(4)の翌日、Aは消費生活センターに相談に行き、その翌日にクーリング・オフ通知書を発出した。
しかし、Zはクーリング・オフについては応じなかった。
令和2年4月頃、話し合いの結果で支払った内金と原状回復の必要費用を加えた金額を返済することでAとZは合意した。
その後、分割により和解金の一部は返還されたが、令和4年2月頃までに和解した金額の全額は支払われていない。
【取引事例2】
(勧誘目的の明示義務に違反する行為、役務提供契約の内容を明らかにする書面交付義務に違反する行為、役務提供契約に基づく債務又は役務提供契約の解除によって生ずる債務の履行を不当に遅延させる行為)
(1)令和2年5月頃、事業者Zは静岡県内在住の消費者B宅を訪問し「Bさんから電話貰ったけど、どうした?どこを直す?」と告げたことから、Bは電話をした事実がないと回答した。
▇は、一旦帰り掛けたところで「ああそうだ、せっかくここまできたから、何かない?」と言って水道配管工事の契約を勧誘したため、Bは洗面所と台所の蛇口の汚れや錆が気になっていることを伝えた。
Zは、洗面所と台所の蛇口を交換して請求書を交付したので、Bは請求された代金を支払ったところ、領収証を交付した。
この契約に際し、契約書は交付しなかった。
(2)上記(1)の翌日、▇はB宅を訪問し「水漏れしていると困るから、洗面所の下を見させて。」と告げたことから、BはZを洗面台まで案内した。
Zは、長い棒のような物を使用して確認し「何か漏ってるな。」と告げた。
Bは、これまでの水道使用量に変化はなく漏水がないと自信を持っており、水漏れはしていないと否定したところ、Zは「漏ってる、漏ってる。」と言い、蛇口をひねって水を出し「茶色い水出るじゃん。」と言い、「もうちょっと経つと、どんどん水漏れがひどくなる。掘っても掘っても分からないと 100 万や 200 万はあっというまになっちゃうよ。」と告げて水道配管工事の契約を勧誘した。
Bは契約を断ったが、Zから何度も勧誘されたことで不安になり、水道配管工事
の依頼をした。
この契約に際し、契約書は交付しなかった。
▇は「前金が欲しい。」「機材を買うのに 30 万円くらい欲しい。」とBに告げたため、Bは内金の用意をした。
同日中、▇はB宅を再訪問し、Bは準備した内金をZに渡したところ、Zは領収証を交付した。
(3)同年7月頃まで、契約をした水道配管工事は開始されなかった。
B宅に親族が来た際に、Bは親族に水道配管工事の契約の話をして消費生活センターに相談し、クーリング・オフ通知書を発出した。
【取引事例3】
(勧誘目的の明示義務に違反する行為、役務提供契約の内容を明らかにする書面交付義務に違反する行為、役務提供契約に基づく債務又は役務提供契約の解除によって生ずる債務の履行を不当に遅延させる行為)
(1)平成 28 年頃、静岡県内在住の消費者C宅で使用していない地中配管を潰す工事を事業者Zに依頼していたことがあった。
その際、▇は「水道メーターが動いている。水道配管のどこかで漏水している。」と告げ、「給湯管も含めて水道管を一式替えた方がいい。」と言い水道配管工事の契約の勧誘を受けていたがCは断った。
(2)令和3年2月頃、▇はC宅を訪問し「まだ覚えています?」「いまだに漏水しているんだけど、工事をしませんか?」と告げて水道配管工事の契約を勧誘した。
Cは、Zと水道メーターを確認し、心配になってZに漏水工事の見積りを依頼したところ、▇は給水配管工事にかかる見積書を渡した。
このときCは、Zから工事内容や施工方法などの詳しい説明はなく、契約した際には内金として工事代金の半額を支払ってもらうことを告げられたが、契約はしなかった。
その後、▇はZから数回の電話を受けて勧誘されたが契約をしなかった。
(3)令和3年5月頃、CはZに対し、「一緒に給湯配管工事もやって欲しいので見積りを出して欲しい。」と給水配管と給湯配管の工事の見積りを依頼した。
▇はC宅に訪問して、Cに給水配管に加えて給湯配管の工事を追加した見積書を交付した。
Zは、工事期間について「正味4日間でできる。」とCに告げ水道配管工事の契約を勧誘した。
Cは給水管と給湯管の工事を依頼することにして、内金を支払ったところ、▇は領収証を交付した。
この契約に際し、契約書は交付しなかった。
(4)上記(3)から約1か月が経過した同年6月頃、Zは風呂場、洗面台トイレなどの壁に穴を開ける工事を1日で行った。
しかし、同年9月頃まで工事が行われなかったため、Cは催促のためにZに何度か電話をかけたが繋がらなかった。
同年9月頃、電話が繋がった際にZは「体を壊して入院していた。」と言っていたが工事は行われず、同年 10 月頃に再度電話した際には「来週、工事に行きます。」と返事をしたが、Zは工事を行わなかった。
(5)同年 11 月頃、Cは消費生活センターに相談して、クーリング・オフ通知書を発送した。
その後、令和4年2月頃までに支払った内金の返還はされておらず、原状回復はされていない。
【取引事例4】
(勧誘目的の明示義務に違反する行為、役務提供契約の内容を明らかにする書面交付義務に違反する行為、役務提供契約に基づく債務又は役務提供契約の解除によって生ずる債務の履行を不当に遅延させる行為)
(1)令和3年5月頃、静岡県在住の消費者D宅に事業者Zが訪問し「以前、うちの親父が井戸を掘らしてもらいました。お客さんの住所録があって、営業に来ました。」と告げた。
その際に▇は「メーターが回っていますよ。水漏れしてますよ。見てください。」と言い、水道メーターを示した。
▇は親族と水道メーターの目盛りが僅かに回っていることを確認し、Zに工事の見積りを依頼した。
同日中、▇は見積書を持って再訪問したが、金額が高額であることからDは不必要な工事箇所を除いた見積りを依頼して、Zは立ち去った。
(2)上記(1)の翌日、▇がD宅を訪問して見積書を交付して立ち去った。 ▇は、見積書を確認した後、Zに給水配管工事の依頼をした。
その際、▇は見積書に記載されていた内金について確認したところ、▇は以前税理士さんに内金を必ずもらうように言われているということを説明し、工事費の半分ぐらいの金額の内金の支払いを要求した。
(3)上記(2)の翌日、▇がD宅を訪問したため内金を渡すと、▇はDに領収証を交付した。
するとZは、その日に台所、土間、洗面台、風呂場の壁に穴を開ける工事を行った。
(4)同年5月頃、▇▇にZが訪問し「35 万円貸して欲しい。」と▇に借金の申し込みをしてきたため、▇はこれを断った。
すると翌日に▇がD宅を訪れ「昨日の 35 万円は払うことができた。」と言い、
「20 万円貸してください。」と再度借金の申し込みをした。これに対しDは、借金として金銭を貸した。
翌日、▇はD宅を訪問し、借金の半額を返済した。
(5)同年5月頃までに給水配管工事が終了し、▇がD宅を訪問してDに請求書を交付した。
給水配管工事が完了したにもかかわらずD宅には漏水があることがわかり、Zは
「給湯設備の工事が必要だ。」と別件工事を勧誘した。
同日中、▇はD宅に再訪問して給湯配管工事の見積書をDに交付した。
(6)上記(5)の数日後、給水配管工事の代金の回収のためにZがD宅を訪問し、Dは代金を支払った。
その際に、▇は給湯配管工事を依頼することを伝えた。この契約に際し、契約書は交付しなかった。
(7)上記(6)の数日後、▇が訪問したためDは給湯配管工事契約の内金を支払ったところ、▇は領収証を交付した。
同日から同年6月頃、Zは台所、洗面台、土間の外壁に穴を開ける工事を行った。
(8)同年6月頃、▇はD宅に電話した後に訪問し、「不渡りがあって金が必要になった。3時までに振り込まなきゃならない。なんとかしてくれ。お願いします。35万円貸してください。」と借金の申し込みをした。
▇は、借金の申し込みに応じることにして、金融機関までZと同行して金銭を渡した。
同借金については、返済期限までに全額の返済はされなかった。
その後、▇は工事の履行と借金の返済を要求するためにZの携帯電話に電話したが電話は繋がらず、給湯配管工事は行われなかった。
(9)同年6月頃、▇は消費生活センターに相談した。
その後、令和4年3月頃まで給湯配管工事は完了していない。